十一話 葛藤
すぐ下に寅が居る事も分からぬ程、ユキの心は冷静さを見失っていた。過去の凄惨な飢饉の際に、弟や姉を救えなかった事、白虎組の組頭として、組下のお梶を自らの手で殺めた事に、彼の心は未だ自責の念に縛られていた。
『からくり治療院』は、幕末の長崎近郊を舞台に、忍びたちの葛藤や矜持、宿命が交錯する伝奇群像劇。抜忍となる雪乃新と闇忍たちとの因縁を背景に、それぞれの信念を胸に生きる者たちの人間ドラマと忍者アクションを描く。